本研究室では、学生の自立した研究姿勢を育てることを大切にしています。 研究活動で培った「自分でモノを考える力・解決する力」は、卒業後どのような道に進んでも必ず皆さんを支えてくれる—— 企業の研究所で20年以上研究に携わってきた経験から、そう信じているからです。
研究とは、世界に先駆けて新しいモノや知見を生み出すことです。 それは、先人の知恵という礎の上に、自分なりの新しいパーツを積み上げていく作業といえます。 礎を理解し、何を作るかを考え、実際に手を動かしてパーツを作る——この試行錯誤の過程こそが、考える力を鍛えてくれます。
試行錯誤はラクではありません。 多くの知見を学び、様々なスキルを一つずつ身につけながら、まだ誰も見ていないものを探すことになるからです。 それでも続けられるのは、好奇心と達成感が生み出す楽しさが感じられるからだと思います。 テーマに求める条件は「世界初であること」、そして「そのパーツが次の誰かの礎になること」です。まだ誰もやっていないというだけでは足りません。その結果を知って、誰かが次の一歩を踏み出せるかどうか。 そこを一緒に見極めながら、皆さんが好奇心を持てるテーマを探していきます。
観測した現象の不思議さを手放さないことを重視しています。 教科書や論文で「当たり前」とされていることを、本当にそうかと問い直すのでも構いません。 実世界で確かめられていないことは意外に多く、それをデバイスで検証するところから、新しい発見が生まれてくるかもしれません。 研究は、そうした違和感や気づきから始まります。
研究には時間がかかります。 これまで多くの研究者が探索を重ねてきた領域で「世界初」を目指すのですから、意味のあるデータにたどり着くまで何度も試行を重ねることになります。 すぐに結果が出なくても焦る必要はありません。じっくり考え、着実に一歩ずつ進めることが、結局は近道になります。
研究は個人の取り組みであると同時に、共同作業でもあります。 配属された当初は分からないことばかりですから、先輩や教員に相談しながら進め方を覚えていきます。 教える側の先輩にとっても、後輩への説明は自分の理解を問い直す機会になります。 そのうえで、自らの考えを整理し、自分で判断し、研究を前に進めていきます。 このように仲間と時間を共有するためにも、コアタイムを設けています。
研究を進めるには、土台となる学問の理解と、「新しいもの」を作り出すための技術の両方が求められます。 学問の面では、トランジスタを理解するための半導体工学、そして統計力学、熱力学。 手を動かす面では、Python や Mathematica を使ったシミュレーション、単一電子の制御・測定、データ処理・解析が必要となります。 本研究室では、実際にデバイスを評価しながら学術的に深掘りしていく形で、これらを一つずつ身につけていきます。 その積み重ねが、そのまま研究者としての成長になります。